人生は楽しむためにある、ハイその通り。
じゃあ、仕事って人生の何なのさ、え?

20代は力まかせにゴリゴリ働いてきた。大学卒業後、広告制作会社でコピーライターに就いた私は、とにかく早く仕事を覚えて一人前になりたかった。サービス残業や労働基準法なんてぇ言葉はたいして気にも留めていなかったし、身体も多少の無理はきいた。

そんな私が、密かに憧れ続けていたラテンアメリカの世界が見たくなり、仕事を手放して中南米に飛んだのは29歳の時(ラテン紀行もこちらで連載中♪)。

約8ヶ月、現地で暮らしたり旅をしたりした中で垣間みたのは、自分が今まで浸ってきたものとは全く違う彼らの「働きかた」だった。

中南米のラテン人間……って、いかにも仕事しなさそうでしょ? そう、実際そのとおりなのだ(例外もいるけど)。「人生を楽しむために仕事がある」のまさに典型。特に、メキシコあたりの昼食が正餐の国に行くと、スーツ姿のビジネスマンが午後3時を過ぎてもランチの肉料理を前に延々とお喋りしていたりする。あのー、何時からお昼、食べてるんですか!?

こういう、「人生は働くためにあるんじゃないぜ、アモール」な価値観を目の前にすると、やっぱり羨ましくはある。そして「アフターファイブって何ですか?」的な20代を過ごしてしまった自分が典型的な「働きバチ日本人」に思えてきて、彼らにうっすら嫉妬と劣等感すら覚えてしまうのだ。

これって海外に行った日本人が、多少なりとも味わう感覚じゃないだろうか。

毎日18時に仕事を終えて、家族との時間を大切にすることは素晴らしい。1ヶ月のバケーションが取れることも、もちろん素晴らしい。ていうか私だって欲しい。

でもでも、同時にこうも思うのだ。
仕事は、メシの種だけのためにあるものではない。

そう、仕事だけの人生は、確かに幸せなんかじゃない。でも夢中になれる仕事がある人生は幸せだ。 たとえ、時々ちょっと無理する必要があるとしても。

こう考えてしまうのも、「働きバチ日本人」のDNAに良くも悪くも支配されている証拠なんだろうか。でも、仕事をただ単に「食いぶちを稼ぐ」モノに成り下げてしまうのはもったいない。何たって、大人になってからの人生時間の3分の1以上は、働くことになるんだから。

「仕事だって人生を楽しむパーツのひとつなんだよ」と受け止めたうえで、その2つのバランスを取って走り続ける……そう、波乗りみたいに。うーむ、まあそれが難しいわけだけれど。

でも、これが私にとっての「働きかた」のイメージだ。穏やかな凪の日もあるだろうし、トラブルの高波に襲われたら、溺れないよう必死で乗りこなすしかない。この変化あるライディングが楽しいから、仕事するのだ。ボードから降りる日が来るまで、ね。

なんてことを考えているうちは、どうやら生粋のラテン人には近づけそうにもないや。あーあ。

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タナカ マリ
タナカ マリ
(編集者&ライター)
広告やWebコンテンツ制作の世界で、企画・編集・執筆等の仕事を続けて早8年。30代に突入したわりにはあり余る体力を、趣味のバイク、ランニング、サルサダンスで燃焼中。2008年、仕事を一時中断してスペイン語を学ぶため中米コスタリカに約半年滞在。「人生やったもん勝ち」を代々の家訓として掲げることを目論む今日この頃。
エッセイ:思い立ったら、ラテン日和