essay

L008
タナカ マリ(編集者&ライター)

仕事を辞めて中南米へ!
オンナ30、住んだ・旅した220日

思い立ったら、ラテン日和

お隣りの国、ニカラグアへ!
思えば遠くに来たもんだァ〜♪


コスタリカとニカラグアの国境地帯。観光客から物売りのオバちゃん、野良犬までゴッチャリ感が満載。

今回はコスタリカをちょっと離れて、その周辺の国のお話。

コスタリカで支給される観光ビザの滞在期限は3ヶ月。つまり3ヶ月に一度は国外に出る必要がある(学生ビザはなかなかおりない)。で、手っ取り早く国外に出るとなると、当然お隣りの国に行くのがいいので、右隣のパナマか左隣のニカラグアを選ぶことになる。

私が最初に出たのはニカラグアだった。ニカラグアのイメージって……うーん、うーん、当初は完全にゼロ。でもコスタリカ国内では「ニカラグア人=不法移民」の印象が強いらしく、あまり歓迎されている様子はない。皆、比較的豊かなコスタリカに仕事を求めてやってくるのだろう。

さて、ニカラグア国境までは長距離バスで5、6時間。山を越え、ジャングルを越え、やっとこさ国境……ていうか暑い。ムンムンに暑い。

国境を越えたとたん、バスの窓からの景色が変わった。赤茶けた土に、枯れ木がところどころ生えた痩せた土地。強い太陽と砂埃。コスタリカの、あのムッと息が詰まるほど濃厚なジャングルの緑はもう見えない。国境は地続きだけど、違う国なんだ……。

私が訪れたのは、国境からほど近いグラナダという小さな町。ここはニカラグアを植民地にしたスペイン人が最初に建設した古都で、コロニアル調の建物が今も残り、訪れる観光客も多いらしい。日本でいう京都に似た雰囲気かな?

カテドラル(教会)と広場を中心に、路地がマス目状に広がる。そんな中南米の典型的な造りの町をぶらぶら歩くと、レンガ屋根の背が低い建物が延々と並び、確かになかなか落ち着いた雰囲気だ。建物に描かれた壁画も可愛くて、ファッション雑誌の撮影にでも使えそうなオシャレな感じ。欧米人の観光客もよく見かける。


グラナダの町、上から見るの図。家の真ん中に庭があるコロニアルスタイルが素敵ー。馬車も観光用のみならず、荷物運搬用として現役活躍中。

もちろん、路地を一歩奥に入ると、そこは貧しき「庶民ワールド」。市場に安食堂に……路地の汚さはコスタリカ以上。小綺麗な「観光ワールド」とは明らかに違う世界だ。それでも私は、このグラナダが結構気に入り始めていた。のんびりした町で、居心地いいじゃーん♪

一方で、この美しくも貧しい国ニカラグアには、悲しい歴史も存在する。なにしろ80年代の終わり頃まで、ドロ沼の内戦が延々と続いていたのだ。お土産屋では、当時のゲリラ軍であろう兵隊の写真が絵ハガキになって売られている。30代程度の人でも「戦争が終わってからはさー」なんて、ついこの間のような口調で話す。

グラナダの夜の名物、それは停電だ。まあ中南米ではどこでも珍しくないけれど、なんせここの停電は、街灯を含めた町中すべての電気が、フッと一瞬にして消えて真っ暗になる。「キャーッ」という悲鳴(でもちょっと楽しそう)が響き、その3秒後にはまた電気が復活する。これが1時間に一度ぐらい起こるのだ。なーんか遊園地のアトラクションのような停電だった。

夜遅くなるまでは、私はこの停電広場の近くの食堂で夕飯を食べたり、ビールを飲んだりして過ごした。空を見上げるとオリオン座。おぉ、ニカラグアからも、日本と同じオリオン座が見える。まあ当然だけど。

夕飯を終えて、街灯に照らされた広場を歩くと、仲良くはしゃぐ親子がいる。地元の人なんだろう。小さな女の子が父親に甘えている、日本の家族と変わらない光景。でもそれが、逆に「あー、遠い所に来たんだなぁ」という実感を私に起こさせる。

この仲良し親子と私の人生は、ニカラグアの町の広場で、今日この一瞬だけ重なって、この先どこかで会うことは二度とない。それでも同じ時空のどこかで、同じオリオン座を見て生きて行くんだな。当たり前のことだけど、でも不思議だ。

なーんてしみじみ考えてしまうのは、それだけ日本から離れた場所に来たせいなのか、ビールの酔いのせいなのか、停電だらけの、でもロマンティックなオレンジ色の街灯のせいなのか。まあ、何でもいいや。


グラナダの街角で偶然見つけた子ども。壁がカラフルなので、なんとなく絵になる。

Cerveza de Toña
セルベッサ・デ・トーニャ
「トーニャ ビール」 ニカラグアのビールといえば、その名は「トーニャ」。軽くて飲みやすい! ちなみにスペイン語で「乾杯」は「サルー!」。

profile
タナカ マリ
タナカ マリ
(編集者&ライター)
広告やWebコンテンツ制作の世界で、企画・編集・執筆等の仕事を続けて早8年。30代に突入したわりにはあり余る体力を、趣味のバイク、ランニング、サルサダンスで燃焼中。2008年、仕事を一時中断してスペイン語を学ぶため中米コスタリカに約半年滞在。「人生やったもん勝ち」を代々の家訓として掲げることを目論む今日この頃。
back number
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L004
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中南米で生きづらい理由
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L007
ラテン的世界から見た
ニッポン人について
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お隣りの国、ニカラグアへ!
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大都会メキシコシティ&
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¡Viva Mexico! 女子の
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冬真っ盛りのペルーに上陸!
首都リマでの小さな出会い
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L018
[最終回]
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そして終わる、ラテン日和