雨の日に鮮明になるのは、草木の緑色だけじゃない。
相手の本性が見えてくる雨の日デートのススメ。
ある休日、目が覚めると外は雨だった。
ふとんをかぶったまま、もぞもぞとカーテンの隙間から外を覗きこむ。薄く降り積もったチリが雨できれいに流されるせいか、地面もビルの壁も草花もいつもより色濃く美しい。そんな雨の日の景色が目に飛び込んできたと同時に私はほくそ笑むのだ。
よし、今日は雨か。間違いなく雨だ。ぐひひ。
タンタンとベランダに打ちつける小気味いい雨音に耳を澄ましながら、にやけた顔のまま再び眠りに落ちる。ああ、なんという幸せ。
雨の日には家の中で心穏やかに過ごしたい。できればひとりで。
それなのに、今まで付き合ってきたボーイフレンドはいわゆる「雨男」ばかりだった。
必然的にデートはいつも雨。遠出すればするほど強まる雨足。
映画館にもショッピングにも海にもディズニーシーにだって、もれなく雨雲がついてきた。
雨に濡れて鮮明になるのは、露に輝く草木の緑色だけじゃない。湿った衣類、傘を振りまわす子ども、水をはね上げる車、かじかむ手足。次々襲い来る不愉快な状況をどうやり過ごすのか。楽しい気分をどう演出するのか。晴れた日には見えなかった相手の本性や自分自身の気分の移り変わりが鮮明に見えてくるものだ。
自分の肩をほとんど濡らしながら、私にばかり傘を差し出してくれた人。
「大丈夫?」と心配しているフリをして、自分のことだけに必死な人。
滑ると危ないからとさりげなく手をつないでくれた人。
彼の意外な優しさにドキっとしたり、酷な現実に失望したり、自分の本心に気づいたり。望む望まないに限らず雨の日のデートにはドラマがつきものなのだ。
しかも、雨の演出に勝手に盛り上げられがちな私の場合、いつもは伝えられない心のうちを素直に告白できたりする。ケンカになるときもあるけれど、そのおかげで仲直りした後は相手との距離がぐっと縮まるもの。私の恋愛観は雨の日デートに培われたと言っても過言ではない。いや過言か。
しかし、一番あらわになるのは自分のわがままさかもしれない。こんなことで不機嫌になる自分、気の利いたことが言えてうれしい自分。そう、雨の日デートは人間力が試されるセンチメンタルな修行場なのだ。それなら、どんどん雨を降らせて地を固めようじゃないか。
じめじめしとしとの雨に負けず外出するのも、こう考えればなかなかいいものだ。
2人の距離を縮める手助けをしてくれる恵みの雨が降り続く梅雨。
実は意外と恋の季節なのかもしれない。


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- まつざき みわこ
- (complex gala.編集長)
- 「ソフト面」の編集を担当するフリーライター。エンタメ系から小難しい系までいける理論派だが、感情が先走るクセがあり、時折フリーズする。必殺技はベリーダンスだが恥ずかしがって披露しないという、これまたアンビバレンスな彼女である。
- ・ブログ:虹色玉虫





