気持ちいい官能をはぐぐむのは適度な「秘密」。
裸体を通り越した内臓にエロスなんて感じられない。
大して聞きたくもない本音や秘密を
「ぶっちゃけ」られることがよくある。
「実は俺、泳げないんだ……」なんて微笑ましい告白なら大歓迎なのだが、大抵は聞かされた方が困り顔になってしまうものが多い。
特に深夜のカウンターバーになんて迷い込もうものなら、大人男子たちが繰り広げる性癖や武勇伝のぶっちゃけ合戦に意見を求められたりして。
「ぶっちゃけ俺、ドSなんだ」
「ぶっちゃけ俺、芸能人とエッチしたことあるし」
「ぶっちゃけ俺、キミの足の指舐めたい」
オーノー、ソコの日本男児。
そんなこと聞いてナイヨー。
不意にそんな秘密を打ち明けられた方はたまったものじゃない。
まるで水風船を投げつけられたかのように、軽いショックとじっとりした不愉快さに身をよじらせることになるからだ。
この感じ……何かに似ている。
そういえば、最新号のan・anセックス特集を読んだときにも、同じようなことを感じたんだった。
興味本位で立ち読みしてみたんだが、出るわ出るわ、エロのぶっちゃけ話。
ご丁寧な図解まで交えて、オーガズムや自慰行為についての手ほどきを指南。しかも、どこでどの部分をどう刺激するとどんな感じでいい、なんて親切すぎる内容だ。
しばらくじっと読み入る。
……そして、気が遠くなる。無念。
それなりに経験を積み、大人になったはずの私、どうした?
乙女な女子高生かっての。
文字通り気分が悪くなってしまうなんて……。
そこではっきり気がついた。
ぶっちゃけられすぎたエロは、裸をとおり越して、いきなり内臓を見せられるようなものなのだと。
血だらけの胃袋なんて見せられても、私はぜんぜん共感できない。
開けっぴろげなエロ情報に気分が悪くなるのは、内臓を見せられた感覚に似ているのだ。
好きな人の気を引くためなら、どこまでも自分をぶっちゃける。
服を脱いでも脱ぎ足りないから、内蔵まで開いて見せて、えへへと笑う。
毎回an・anのセックス特集に感じる違和感は、そんな「愛されたい女子の必死さ」が原因のような気がする。
男女関係やエロに限らず、人間関係の肝は“距離の取り方”だ。
このタイミングで、どれくらい相手に近づくのが適切で、どこまでやったらひかれるか。どこが気持ちよくて、どうすると嫌なのか。
相手の顔色を見ながら本音と建前を使い分け、微妙な空気を読む。
そんなセンスを磨くのが、大人の付き合いってもんじゃあないだろうか。
そして、少しずつ相手を知っていくのだ。
スルメを噛むように、心も体も少しずつ。
裸に慣れずに、逆に服を着ていくような秘密を楽しむ官能的な恋愛。
私はそんな恋がしたいんです。
……ぶっちゃけ。


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- まつざき みわこ
- (complex gala.編集長)
- 「ソフト面」の編集を担当するフリーライター。エンタメ系から小難しい系までいける理論派だが、感情が先走るクセがあり、時折フリーズする。必殺技はベリーダンスだが恥ずかしがって披露しないという、これまたアンビバレンスな彼女である。
- ・ブログ:虹色玉虫





